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しっぽ さん

  
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離れて暮らす20年の間に、私の出身地の風景はずいぶんと変わりました。幼い頃当たり前だと思っていた景色はすでにどこにもないというのに、私が思い浮かべる「故郷」は、いつまで経っても20年前のそれなのです。

韓国はいま再開発が急激に進んでいると聞きます。コロナ前に渡った韓国では、便利で整然としておしゃれな都会的な風景、古き良き時代を取り入れたノスタルジックな風景、そしてその狭間の、時間の流れに取り残されたような風景、のどれをも目にして、日本の何倍もの速度で変化し、今もその渦中にあることを、現地で肌で感じたものでした。

駆け抜けていくような時代の流れの中で、母親によって営まれ、3人の子供を大学に行かせ、役目を終えたようにニューヨーク製菓店。

まだ一家がそこに住んでいたころ、パンやお菓子が消費され売り忙しかったころ、時の変化から取り残されていくころ。

読んでいる間じゅう、そのすべてのイメージが鮮明に私のなかに描かれていました。

私の中の故郷がずっと20年前の景色であるように、誰かの中のニューヨーク製菓店もそのままの姿で誰かの中にあり続けるのでしょう。

折しも今日は、全斗煥元大統領が亡くなったというニュースが流れ、朝からSNSが騒然としていた、そんな日でした。

読了後の余韻に浸りながら、もう少し寒くなったらこの「ニューヨーク製菓店」をもう一度読み返そうと思いました。或いは来年の夏、餡子をのせたかき氷を食べながら再読するのもいいかもしれません。


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