本サイトは、SHARE info(シェアインフォ)で作成された投稿型サイトです。
今すぐ、無料で、簡単に「投稿型サイト」が作成できます。

ちろ さん

  
通報 ウォッチ 0

かつては確実に存在していたのに、いまは跡形もなく消え失せているもの/記憶のなかにしか存在しないもの。『ニューヨーク製菓店』という今は存在しない場所を基軸に語られる著者の記憶。


「しかし、果たしてそうだろうか?単に消えてしまえばそれまでだろうか?」その問いと共に、追憶の持つ意味が語り手のなかで変化し、現在の自分の人生を肯定する灯りへと変化していく。灯り自体の変化というよりも、灯りに対する語り手の視線が、人生を経ることで変わっていく。


「どうせ人生とはそういうものではないか」たったこれだけの言葉が、短い物語のなかで異なる意味を帯びる瞬間。


自分の中にも、読者のなかにもそれぞれ『ニューヨーク製菓店』なる場所/灯りが存在している。『ほんの少しでも良い』、生きていくために必要な灯り。その存在に気付き、自分の人生を生きるための灯火となるように。


本当に短い、独白のようなこの物語にずっと胸を掴まれる。すごい短編でした。

関連する投稿

  • 投稿 - 2021/11/28
    中村 友希子 さん
    0

    この作品を読み進めながら不思議だったことは、頭の左半分では作者の微細な記憶の風景描...

  • 投稿 - 2021/11/28
    澤村 明亨 さん
    0

    作者の記憶にあるとおり、自身にとってはたわいなくなんでもない「(カステラの)キレッ...

  • 投稿 - 2021/11/28
    あべゆかり さん
    0

    小川のように静かに語られているのに、とっぷりと深い水の中にいるような気分になりまし...