min.ami さん
読んでいる間、"キムヨンスさんから直接、過去のお話を聞いているような感覚"でした。
少しお酒が入ったような感じで、今となりで話してくださっているような、とにかくそんな感覚でした。
私は本を読み慣れていないのですが、そんな私にとっても、それほど読みやすい書き方でした。
内容で印象的だったのは繰り返し出てきた、「人生とは...」から始まる言葉のもつ意味合いが変化したことです。
始めからほとんどは、人生に対する諦めや、自身をなだめる為に使っているように感じました。
その後、自分の人生の灯りに気づいてからは、前向きな意味が含まれた言葉になっていった。
また、他の方もTwitterで投稿されていましたが、自分にとっての「ほんの少しの灯り」に気付かせてくれる作品だとも思いました。
小説というのは、ある程度作者から読者へ"これを受け取ってほしい"という意図をもって書かれるものでしょうか。
恥ずかしながらそれすらもわかりませんが、ただ、作者が自分にとっての灯りを細やかに書いたことが、読者が自分の小さな灯に気付くための装置になっていると思いました。
私も色々と思い出しているうちに、唯一味方でいてくれた祖母、私を応援し心配してくれた恩師を思い出し、今も守られていることに気付きました。
今は居なくても自分の中には居て、副え木のように支えてくれている。
"元気が出ないときにすることリスト"に「ニューヨーク製菓店を読む」と入れておくのがいいのではないでしょうか。
大切な人に贈るのもいいなと思います。
それから、1ページ目のお母様への問いかけが敬語だったのもよかったと思います。
翻訳は、その国の文化背景などに合わせて言葉を変えたりもすると聞いたことがあるのですが、これを日本に合わせなかったのが良かったです。
韓国のことをある程度知っている方は、親に敬語を使うことをご存知です。ですが、そうでない方はまずその違いに気付くことで、韓国を知る糸口になると思いました。
まだまだ時代背景や作中のヨンスさんの感情面など、紐解けていない部分がいくつかあります。
これから、ゆっくり知っていこうと思います。