始めから主人公とヒロインの距離が埋められていると、平和すぎてつまらない
あるファンタジー物語で、主人公とヒロインが最初から恋人だったとしよう。
二人はずっとイチャイチャラブラブで、絆が壊れることは決してない。
そのまま二人は愛のパワーで魔王を倒しましたとさ。
めでたしめでたし。
……さて、この話は果たして面白いだろうか。
4コマ漫画のコメディーとしては何とかなるかもしれない。
あまりにも順風満帆なようすにツッコミを入れるかたちで。
だが、長期にわたる小説を書くとなると、
精神的な困難が待ち受けていないのは、平和すぎてつまらないのではないだろうか。
試練があるからこそ、二人の愛は燃え上がる
現実で考えれば、ケンカするのはあまりよろしくないのかもしれない。
さっさと仲直りしてお互いを支えあう方が賢明である。
しかし、そんな現実のケンカでも学ぶべきことがある。
相手の気持ちを知り、次は気を付けようと成長できるのだ。
リアルですらそうなのだから、都合の良い展開になるフィクションにおいて、
ケンカをした主人公とヒロインの成長は計り知れない。
より深く絆を深めるには、そしてそれを読者に伝えるには、
物語の序盤では、主人公とヒロインの距離は開いていた方がよいといえる。
まどろっこしく言ったが、簡単な話だ。
最初から何の変哲もないラブラブを見せつけられても『爆発しろ』で終わるのだ。
かといって主人公とヒロインが最初から恋人であっても問題はない
二人の距離が開いていることを否定したが、
だからといって最初から恋人同士なのがいけないわけではない。
あくまで、二人の距離が完全に埋まっていないことが大切なのだ。
恋人であっても、二人の間に試練をつくるのは容易だ。
病気やけがをもっていたり、すれ違いが起こっていたり、環境のしがらみがあったり、
そういった障害をクライマックスで乗り越える。
そういう激動の展開が、読者の心をハラハラさせて、躍動させるのだと思う。
だから、小説家はどんどん二人の距離を引き離せ。
面白さのためならば、手段など選んではいられないのである。
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