特殊加工を使わずコンセプトを表現する
石油王ではないので小部数で特殊加工盛りまくると単価がヤバくなる
そもそもpixiv連載の再録なので紙で欲しい人向けなのだが、それにしたって限度はある。
自分用に1冊……のつもりで作ろうとしたらちょうどイベントあったので余部頒布しようかな〜くらいのテンションだったのに最終的に再版することになったので結局全然ローコストではなかった。再版は最もコストを食う。そもそも装丁盛ってたら再販出来なかっただろう。
という事で、
予算(頒布価格、単価)内でコンセプトや作品世界観的なものを表現するために何をするか?を考えて作りました。
小部数のメリット
赤を出さないようにしよう!頒布価格に装丁分は乗せないようにしよう!等の難易度は上がるが、そこを手作業加工や大部数になると難しいカバー手巻き等でカバーできる。
以下でそれぞれの仕様について書く。
基本仕様で最大限
この本の仕様は
本体(A6文庫/追加料金なし特殊紙カラー表紙/表2.3モノクロ印刷/本文444ページ/約20万字)+トレペ寸足らずカバー+巻紙(破く用)
となっており、本体は印刷所の基本仕様内で収まっている。見慣れた薄い本の仕様がB5からA6文庫サイズになって分厚くなってる感じ。
基本仕様内での選択の理由
表紙用紙
ペルーラスノーホワイト
→選べる紙の中でほのかにキラキラしていてマットをかけると奥ゆかしくてかわいい。作中で「光って見える」がキーフレーズとして出てくるのでそれに従った選択
表2.3モノクロ印刷
追加料金がなかったから
きょうだい相手の夢本でどちらも選べず表紙に載せなかった関係でキャラ二人を表2.3に配置しました。
本文444ページ
厚いわ。という事で最も薄い書籍57kgを選択しました。結果的に裏抜けも気にならず商業文庫っぽい柔らかくて読みやすい本になりました。
本体を基本仕様で収めることでカバーと+αを作るゆとりができた。
この材料からできる仕掛けを考える。
※仕掛け考えるって何?必要?
同人誌は一般流通している本とは違います。一般書籍でこの厚さで1000円超えてたらギョッとされるでしょう。それでも私の場合イベントだー!推しの本だー!となると惜しくは思いません。価格に関しては色々な議論がありますが、少なくとも私が同人誌を買う側に立った時は「同人誌を頒布される」体験を買っているものと思っています。プライスレス。
だからこそただの文章を印刷した紙の束に留まらず、読書体験を補強する仕掛けをしていきたいなと考えています。
それら全て自分プロデュースでやれるのが自費出版・同人誌制作の良いところでもあります。商業で作家が表紙、版組からデザイン、流通まで全てコントロールできることはまずありませんし……
個人の考えです※
もやもや
1.表紙が夢主ってな〜わかってる人しか買わないとは言えな〜同人誌としてどうなんじゃ?ただでさえネームレス派とか個性ありなしとか色々あるしなー!
2.pixivのタイトルお約束に従ってなろうじみたタイトルにしたけどシリーズ名の方をメインにしたい気もする…
上の2項目をなんとかするために
①カバーで顔隠そう。トレペモノクロ刷りなら予算内。
②寸足らずにしよう。質感違って面白いから。
③本体にシリーズ名つけてカバーにタイトルつけよう。
④トレペで寸足らずって折れとか泳ぎが怖いから巻紙でピッタリ巻いて頒布しよう。
このように物理的な仕様が決まり、それに伴って仕掛けが決まりました。
仕掛けに合わせてデザインする
特殊加工ありきでデザインする
本の内容に合わせて特殊加工を選ぶ
素晴らしいことです。余裕があったらどんどんやろう!
しかし今回は予算内・コンセプト、仕様に合わせて最大限を発揮するを目標に(必要に駆られて)しているので、先に決まった本体の紙と加工に合わせてデザインを考えないといけない。
幸い、pixiv再録なので話は決まっているわけで、それに合わせて絵を描けばいいのですぐ描ける。表2.3も同様。
ペルーラのキラキラを活かしたいので、紙が決まった時点で絵の人物と光を元々考えていたより明るく調整した。
絵ができたら背つけて配置して文字置いてカバーのレイヤー被せて見当つけてデータ作って入稿。
巻紙用のデータも作って入稿。
こんな感じ
手巻きした実物
カバー手巻きするのを前提に文字配置したので折りの見当つけやすかったです。背が狭かったからぴちぴちしました。
巻紙作っといてよかったです(小並感)
キャラの顔と真タイトルをトレペ黒ベタ抜きタイトルで隠している。タイトルの黒いラインの手前で折るとちょうどよかった。
概念の否定とか殻を破るのが話の鍵なので物理的に巻紙を破ってもらお〜と思って書籍用紙で巻きましたが破ってくれたのは少数だった模様
総括
安上がりでそれっぽい(笑)と言えばそこまでだが、決まった型の中でどれだけの表現ができるかのアイデアを出すのは予算がある時にも応用できるものだし、何より読みやすいので紙で手元に置きたい人向けと自分向けの記念としてちょうど良い塩梅だったと思う。
後で段組メモします。
終わりに
正直この装丁と仕組みの頑張ったところ読み終わってからじゃないと刺さらないから読んでね
おたくより
コメント
匿名さん: 2022-05-15 18:47:01
紙が破れている写真が衝撃的でした。この紙もトレぺもお洒落で、お話のコンセプトにも合っているようで素敵です!基本仕様内でアイデアを出すという考えも参考になりました。
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