市販っぽくないカバー付き文庫本

投稿:くす  
ブックマーク 5

 初めて頒布する用に作った本なので、いろいろ反省点が多い。でもかなり気に入ってます。

 画像は実物の書影と、カバーと表紙それぞれの入稿データ。PSDで提出したものを投稿用にPNGに落としています。

 プリントオンさんは背幅計算ツールと背幅がミリ単位で固定されたテンプレートがご用意されているので、背幅の調整やら解像度やら考えることなく、ダウンロードしてきたファイルを開いて画像と文字入れしてそのまま入稿できます。WordやInDesignで作った本文はPDF入稿ですが、PDF化の説明も丁寧にされています。画像の扱いに不慣れな字書きにやさしい。


利用セット

文庫本セット

 デフォルトでフルカラー印刷のカバーがついてるセット。カバー用紙をいろんな特殊紙から選べて楽しい(加算料金はかかります)。あとカバー巻きを料金内でしてくれるのでとてもありがたいです。


カバー用紙:ミニッツGAスノーホワイト100kg(PP加工なし)

 これ実はカバーの紙とデザインの組み合わせを失敗したなと思ってるんですよね。ちょっと変わった紙にしたいなと思って選んで、紙自体の質感はめちゃくちゃ好きだったんです、適度なエンボスで触り心地はなめらかで、硬さとしなりのバランスが良くてカバーとしての頼りがいも申し分ない。素敵。

 ただ、白色度が思ったより高くなかったんですね。スノーホワイトって名前ですが、どっちかというとオフホワイト系の優しい色です(あとで調べたら、ミニッツGAにはもう一段白色度の高いプラチナホワイトって種類があるんですね。この色はプリントオンさんでは扱いがない)

 ここに、原色寄りカラーのベタ塗りをCMYKで乗せてしまったため、全体にちょっと沈んだ発色になってしまったのが反省点です。このデザインだったら平らで白い紙にRGB再現印刷でクリアPPかけた方が映えたな、と思う。

 紙の失敗でちょっと個人的に思ったことは、プリントオンさんの用紙紹介ページ、とにかく種類が多いし下手な紙専門通販サイトの写真よりよっぽど見やすいので楽しいんですが、写真が美しすぎるので白系の紙の色味は信じすぎない方がいいんじゃないかということですね。


遊び紙

 遊び紙のつもりで作ったんですけど、注文履歴でオプションメニュー名見たらトレーシング口絵だった。たぶん普通に発注を間違えたんだと思う。ちなみにプリントオンさんには遊び紙印刷というオプションメニューもあるし、そこでもトレペが使える。不備連絡で「口絵の印刷データがありません」と言われて泡食ってカバー下表紙のデザイン転用しました。

 紙は最近廃盤になってしまったらしいアートドリーブ ドット。公式絵にしばしばドットのテクスチャが入ってくるので、それオマージュで起こしたデザインに合わせて選びました。写真だとわかりづらいですが、トレペに白い小さいドットが入った紙です。直列ドットなのでかわいすぎず適度に遊び心があって大好き。復活してほしい。

 扉絵に入れたロゴがいい感じに透けて見えます。トレペの醍醐味。



組版設定

作業環境:Adobe InDesign

 サイズ:A6(幅105mm×高さ148mm、裁ち落とし四方3mm)

 余白(グリッド開始位置):天14mm/地14mm/ノド13.875mm/小口12mm(天/小口指定)

 段組み:1段 字数/行数:40字15行

 本文フォント:游ゴシックRegular 12Q

 字間:0H 字送り:12H

 行間:9.75H 行送り:21.75H

本文234ページ、背幅(表紙込み)11mm


 ノドはやや狭めですが、本文・表紙ともに柔らかい紙なので読むには支障ありません。

 ノンブルの入れ方を無駄にこだわっている割に、短編集なのにタイトルの柱表記がないのはちょっと不親切でしたね。

 本文フォントがゴシックなのは特に深い意味はないんですが、まあ別にそれほど読みづらいわけでもない。むしろすっきりしてて個人的に好きです。

 字数・行数・余白は某ラノベ文庫の版面を定規あてて測ったり地道に数えたりして参考にしました。結果かなり読みやすい字詰めになったような気がします。やはりプロが作った商業本のデザインはすごいなあ。


カバー・表紙・帯デザイン

 Photoshopが使えないので、Illustratorで作ったデータをPhotoshopで開いたテンプレートに配置するという頭の悪い作り方をしています。

カバー

 めちゃくちゃキュービィ□ップ感あるなと思いながら作ってた。

 とにかく商業本っぽくないデザインにしようとだけ決めていて、あと時間があまりなかったので複雑なオブジェクトを作ったり素材を探す暇がなく、結果「幾何学模様とドットとフォントの力でどうにかする」という強硬手段に出ました。ありがとうAdobeFonts。

 今思うと折り返し袖にもうちょっと何か入れてもよかったかもしれない。でも台詞の抜き書きとかは後述の帯でやっちゃったので書くことがなかったんですよ。

表紙

 カバー下だしモノクロだしそこまで凝らなくてもよかんべえということで、かなりシンプルになりました。ほぼカバーで使った素材のモノクロ転用。

 画像には出せてないんですが、頒布分には市販光沢紙に家庭用インクジェットプリンターでカラー印刷した帯をつけてました。なぜ自作したかというと、表紙側は共通、裏表紙側は5種からランダムっていう仕様をやりたくて……。部数が少なくて印刷頼むほどの枚数にもならなかったので、A4の紙に横長で印刷してカッターで切ってひたすら巻いた。楽しかったです。

コメント

    まだありません。

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