キャラクターの動機をたくさん用意するとパワーが分散される?
物語のストーリーを作るにあたって、
キャラクターの動機、目的、というのはとても大事だ。
主人公の願いは何か、というところから物語の筋道は決まっていく。
他の登場人物の動機・目的だって重要だ。
主人公との関係性が決まって、時に協力し合い、時に敵対したりする。
何より、登場人物の『何が何でも願いをかなえたい』という想いは、何かを達成する力となって、読者の心を震わせるだろう。
とにかく、キャラクターの動機は重要だ。
しかし逆に言えば、この動機がしっかりしていないと、物語の面白さが薄くなる。
そして、薄くなってしまう理由の一つとして、
『動機が複数あるから』
というものがある。
今回の記事ではそれについて述べていきたい。
動機が複数あると、パワーがでなくなる。
主人公が物語の中で、何でも成し遂げたいという想い。
(例えば、魔王を倒して世界を救いたい、など)
しかし、例えばその魔王を倒したい理由――主人公を突き動かす動機が、複数あるとパワーが出なくなるように思う。
分かりやすく、例というか、セリフを出して考えてみたい。
世界が危機に陥っている中での、勇者のセリフ
「俺は絶対に魔王を倒すんだ! もし倒せたら、この国のお姫様と結婚できるし、世界は平和になるし、かっこいいヒーローになれるし、悪い奴を放っておくわけにはいかないからな!」
このセリフをどう思うだろうか。
コメディーやコミカルな雰囲気の場合は、全然問題ないセリフだろう。
しかし、危機に陥っている世界で、勇者が言うセリフとして考えた場合、
ふさわしくないように思う。
理由をたくさん用意して、
「これだけの理由があるのだから放っておけない!」
と訴えるよりは、
「さらわれたお姫様が好きなんだ! だから絶対に魔王を倒すんだ!」
――の方が、パワーが強くないだろうか。
人間は多面的な生き物なので、動機を複数用意するのもアリではある
一方で、動機を複数用意するのは問題ないという考え方もある。
人は多面的で、いろいろと考え、思い悩む生き物だからだ。
動くための理由がたくさんあるのは当然。
むしろその方がリアリティがあってよい。
その考えは間違っていないと思う。
ただ、そうやって動機を分散させると、それはそれでパワーが生まれなくなることも事実であると私は考える。
パワーを優先するか、リアリティを優先するか。
物語に応じて、塩梅を考えながら、うまく描写していく必要があるだろう。
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