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キャラクターに『語らせる』ときの注意点「人は醜い」

投稿:静原認  
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小説において、

登場人物のキャラクターに、『哲学』や『真理』、『悟り』、

そういった言葉を言わせたくなったことはあるだろうか。

 

世界や人の本質を語ることは、

作家として、キャラクターを通して、読者に何かを伝えたいときに役立つ。

 

共感してもらったり、感情移入してもらったり、

『何かを伝える』ための手段なのだから、

そこには当然、作家としての力がこめられる。

 

しかし、

私はかつてそれをやって、失敗した経験がある。

 

今回はそれについて記述したい。

 

 

人は醜い

 

私が書いたあるファンタジー小説の舞台は、治安が悪く、民が疲弊した場所だった。

 

そこへ降り立ち、あたりの惨状を目の当たりにした主人公の青年は、こう言葉を漏らす。

 

「人は醜い。自分の保身のために、他者を傷つけることも厭わない」

 

さて、青年である主人公のこのセリフ、どう思うだろうか。

 

これを書いていた当初、私は主人公にこのセリフを語らせたかった。

 

私自身が、人はあまり良いものではないと思っていて、それを訴えたかったのだ。

 

だが、このセリフに関して、お世話になっていた先生からこう指摘された。

 

「説得力がない」と。

 

どういうことか。

もっと分かりやすく言い換えるとこうなる。

 

「人生をしっかりと経験していない若者が、『人は醜い』などと語るんじゃない」

 

ただの若者が「人は醜い」といったところで、

読者には「語ってんじゃねえ」と思われてしまう。

 

私の師はそう指摘してくれたのだ。

 

たしかにそのとおりである。

「人は醜い」という言葉を語れる青年がいたとしたら、

 

それは幼いころから様々な人の悪意に触れ、ないがしろにされ、世の中すべての人を恨んでいる。

 

それくらいの境遇にいないとダメなのかもしれない。

 

あるいは、様々な世界を渡り歩いて、知識を深めた仙人とか。

 

とにかく、

キャラクターに何かを語らせたいのなら、キャラクター本人に説得力を出さなければならないのである。

 

 

キャラクターの語りに説得力を出すには

 

改めて言う。

 

「語ってんじゃねえ」と思わせないようにするには、

説得力が必要。

 

説得力を出すには、

やはりそのキャラクターが、語る内容にかんする経験をしっかりとしていることだろう。

 

だれかの受け売りをそのままパクったような

子供じみた表現では、あなどられる。

 

これからも、そのことをしっかりと頭に入れて、執筆をしていこうと思う。

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