小説で伝える|その物語は『最も伝えたいこと』をうまく表せているか
なぜ私たちは小説を書くか。
その理由の中に、『特定のことを伝えたい』というものがあるだろう。
いわゆる自己表現。
小説家として、読者に伝えたいことは必ずあるはずだ。
例えば、『感動する物語を書きたい』→『こういうテーマ・ストーリーで感動させたい』→『~であることを訴えて、感動させたい』
となるだろうか。
伝えたいことがあるからこそ、面白い物語はできるのだと思う。
逆に言えば、伝えたいことが曖昧だと、ごちゃごちゃした文章の羅列になってしまう。
では、どうしたら伝えたいことを伝えられるのか。
どうしたら、伝えたいことが曖昧にならないのか。
その中に、伝えたいことを一つにしぼるというものがある。
最も伝えたいことが2つ以上あると、読者の意識が分散されて、強く伝わらない。
分かりやすくいえば、
物語の最終的なクライマックスで、
「ヒロインのことが大好きだ!愛している!」
という一番大きな気持ちに、
「引きこもりたい、ぐうだらしていたい、俺は昼寝王を目指すんだ」
という気持ちはいらないということだ。
『最も伝えたいこと』をしっかり定めてこそ、読者はそこに意識を向ける。
面白い物語ができあがる。
『最も伝えたいこと』を決めることによる利点は、物語の面白さだけではない。
プロットを構築するときなどにも役に立つ。
例えば、とりあえず完成したプロットを友人に見てもらったとしよう。
見せたのは、恋愛小説のプロットだったとして、
『最も伝えたいこと』が、主人公とヒロインの純粋なイチャイチャラブラブだったとして、
その際、友人に『最も伝えたいこと』をあらかじめ伝えるのと、何も言わずに見せるのとではどちらの方がより良いアドバイスをもらえるか。
当然、前者である。
後者ならば、読んでくれた友人のアドバイスは、
「もっとぶっ飛んで突き抜けたキャラにしたほうがいい」
などと、純粋なイチャイチャラブラブとは少しずれるアドバイスになってしまうかもしれない。
つまり、
『最も伝えたいこと』を定めるということは、
プロットの際によりよいアドバイスをもらえるということでもあるのだ。
それは必然的に、よい物語の創作へとつながっていく。
物語で『何か』を伝えたいのなら、
その『何か』は絶対に明確化したほうがいい。
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