透明カバー、特殊紙ニス加工、片頁ノンブル
A5/284ページ/全年齢
「逃避行」をテーマとし、漫画・小説・イラスト・短歌を収録したアンソロジー本。執筆者には「とにかく自由に書いてほしい」とリクエストした。
表紙は冊子の顔だけど、顔はあくまで顔であり、内容について余計な先入観を与えたくなかったので、手に取った際の照明や湿度や気分で印象が大きく変わるようなデザインを目指した。
そのため、装画の人物は豆粒くらいの大きさにしておき、表情が見えないように描いた。
ブックカバー
使用した用紙は透明素材の「アリンダAGT-100」。焦土とも海ともつかない透明な地平線に銀で箔押し。カバー自体は青色と淡い赤色。
本体表紙
ランダムにカラフルな繊維色が入っているボール紙「ゆるチップ」に燻んだ橙と青緑の装画、題字に空押し。裏表紙側に遠くを歩いている二人がいて、一方がもう一方を振り返りどこかを指さしている。
色刷りがない白い部分にOPニス加工を施してあり、紙を傾けて光を当てると寄稿作品の一部を使用した絵柄が光る。
OPニス加工は対応可能な印刷所が少なく、またこうした絵柄を印刷する事例も少ないため、西村謄写堂さんに多大なご助力を頂いて試し刷りをおこない用紙を選定した。
厚盛りニス加工や透明箔押しなら用紙色等にかかわらず絵柄をハッキリ浮かび上がらせることができるが、ここでは用紙本来の質感を失わせないためにニス厚盛りやPP加工を施していない。OPニス加工は経年で退色する弱点があるが、物質の変化は愛しいものなので良しとした。
本文
作品ページは裏写りしづらく柔らかい紙質の「モンテシオン」、執筆者あとがきは少しくすんだ色のラフ紙「ニューバルギー」に変更。
どちらも黄色がかったざらつきのある質感が特徴の紙で、そのままでは用紙替えが分かりづらいが、ここではハッキリ替えたことが分かるよう、ニューバルギー使用の執筆者あとがきには薄く全体グレスケをかけた。モンテシオンも経年で退色しやすい用紙と言われているが、おしなべて変化は個人的に癖(ヘキ)なのでこれもまた良し。
後ろに遊び紙で「クラシコトレーシング 星くずし」を使用。
ノンブルは手を取り逃げる二人のイメージから片ページに寄せた。片ページノンブル作成にインデザが大活躍した。
ノベルティ
おまけ透明ミニカード。用紙はアリンダAGT-100、題字部分を白押さえ。
反省点
- カバー背表紙の折りが甘く、反りやすくなってしまった。献本分はドライヤーで折り目を付けた。
- 本文紙替え(+全体グレスケ)により、小口で紙替えの境界がハッキリ分かるような見た目を目指したものの、直前に自分の原稿で20p近く全体グレスケを使ってしまったのでそこはイメージ通りにならず。
- おまけカードの印刷面を間違えた。アリンダAGTは表がツルツル、裏がサラサラ質感なので、どちらの面に印刷するかによって絵柄の表情が変わるが、入稿前後の記憶が無い。
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