ヒロインの第一声は地の文に組み込まない
今から話すのは、
小説を書く者がたいていクリアしている問題ないことで、
しかし知っておかないともしかしたらやってしまうかもしれないことについてでだ。
いきなり答えから言ってしまうと、
『ヒロイン(ヒーロー)の第一声は地の文に混ぜ込まないこと』である。
具体例
分かりやすく言うと、
例えば、「おはよう」がヒロインの第一声だったとして、
こちらの身体を小さくゆすりながら「おはよう」と言った。
ではなく、
こちらの身体を小さくゆすりながら
「おはよう」
と言った。
にせよ、ということである。
理由をあらためて述べると、ちゃんと印象付けるため。
もっと感情的に理由を言うと、
「栄えあるヒロインの第一声なんだから、ちゃんとしっかり強調すること! すくなくとも地の文には埋め込まない!」
といったかんじだろうか。
どうして私はかつて↑のような手法をとったか
ヒロインの第一声を地の文に埋め込んでしまった。
私のかつての小説がなぜそうなってしまったか。
その理由を話したい。
なぜかというと、
短くありきたりなセリフを飾りなく書くのが嫌だったから。
そうするくらいなら、地の文に組み込んで、実力ある文章っぽくしたかったからだ。
「おはよう」
挨拶はとても大事だし、好意をもっているヒロインから挨拶をされれば嬉しいだろう。
そういった意味で、「おはよう」にも十分な価値があると言っていい。
しかし、かつての私は、その魅力が分からなかった。
アニメや漫画と比べて文字がうきぼりになるのが小説。
だから、セリフにも気をつかわないと、幼稚な文章になってしまう。
そんなふうに考えていたのだ。
しかし、第一声で言わせたい内容は、あくまで朝の挨拶。
セリフを変えるわけにはいかなかった。
「おはよう」以外のリアリティあるセリフが思いつかなかった。
だから、地の文に組み込んでしまうことで、幼稚さをなくそうとしたのだ。
しかし、これは間違いだったと今は思っている。
繰り返し言うが、ヒロインの第一声なのだから。
自信を失わずに堂々と言わせて、読者の心を震わせればいい。
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