メゾンTH By白機 (設定変わるけど以後はこれ)
「…寒い」
ボロ切れに近いローブを身体に巻きつける。でも雨で濡れたローブは僕の体温を容赦なく奪っていった。ここはスラム街。犯罪者、ホームレスが住んでいる。僕ー白機は後者だ。といっても仕事が上手くいかず破産ということではない。僕の齢は11歳、普通だったら親の元で暮らしているような存在。でも僕は違う。チラリと遠くにある建物ー孤児院を見る。教会のような神聖な雰囲気があるが実際は違う。強制的な労働を強いられまともな食事が取れないのが実情だ。僕は孤児院の前に捨てられ物心ついた頃から働くことを強いられてきた。そして11歳になった今日、僕は追い出された。 僕は何もしていない。なのに職員は僕を虐げ最終的には大雨の中に僕を投げ出した。こんな僕を拾ってくれたり養ってくれる心優しい人は生憎周りにはいなかった。行くあてもなかった僕はあちこちを周りに周ってここにたどり着いて今に至る。雨はさらに勢いを増し道はもはや川になっていた。完璧に雨風凌げる場所なんてないので道端にうずくまりじっとしていた。いずれにせよ何もしなければ死んでしまう。だが齢11のまともに読み書きも出来ない子供を雇ってくれる人なんていない。僕には死ぬという道しか残されていなかった。疲労と眠気で意識が飛びそうになっていた時だった。
「君…こんなとこでどうしたの?」
顔を上げると人がいた。見た目からして20歳ほど、性別は分からない。
「…」
僕は何も答えなかった。でもその人は
「なるほど、孤児院から追い出された子か。あそこは劣悪な場所。国になんとかして欲しいものだよ」
僕の見た目だけでどんな状態か気づいた。
「お、初めて感情らしい感情を見せたね。私はそこ出身だから同じ境遇の子は雰囲気で分かるのさ」
そしてこう言った。
「同じ境遇のよしみだ私の仕事を手伝ってくれないかい?もちろん相応のお金は払うし衣食住も提供する」
その人は僕を見て問う。
「さぁどうする?」
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目を開けると窓から光が差し込んでいた。いつの間にか寝ていたらしい。
「随分と懐かしい夢を見た...」
といっても数年前のことだけどね。あの人-師匠はある日を境に姿を消した。生きているかも分からないし亡くなってしまったかもしれない。でもまた会える日が来るのを信じて僕は今日も師匠から引き継いだフード付きケープを着て街へ情報集めに繰り出すのであった。
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