メゾンTH [契約組は今日も仲良しです]
「ソータ、お腹空いたァァ」
何度目か分からぬ叫びは少年の言葉にかき消された。
「紫雨さん、あと少しで資料が終わるので待ってて下さい」
目の前で頬を膨らませて拗ねている少女、紫雨は人間離れした異常な食欲の持ち主である。ギルドの資金の大半が食費に溶けているとか、その食欲はどこから湧いているのだろうか。考え事をしながら書類と睨めっこしてると、頬に暖かい感触がする。
「ソータ、僕にも構ってェェ」
と無邪気に頬をむにむにと触り出す。全くしょうがないですね。
「分かりました、何が食べたいですか?作りますよ」
「えっとね、オムライス!!」
キラキラと目を輝かせる。まるで小さな子どもみたいだ。本当に同い年なのだろうか。
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玉ねぎを切ってると隅からひょこっと姿を現す紫雨。気配消すの上手すぎません?
「器用だねェェ」
「そうですか?紫雨さんは料理苦手でしたよね。要さんから聞きました」
「クッキー作ろうとしたらキッチンが爆発したァァ…なんでェェ」
もしかして、黒炎を使ったとかですか?相変わらず派手にやらかしますね、貴女は。
雑談していたらいつの間にオムライスも完成していた。卵をひっくり返す時に「すごーい」と褒めてくれて照れくさかったです。そういえば俺のこと初めて褒めてくれたのは貴女でした。─俺の話しはどうでも良いですね、オムライスが冷めてしまいます。
「「いただきます」」
契約組は今日も仲良しです
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