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メゾンTH 1話 by白機

  
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歩き始めてから数時間が経った。僕は今草原にいる。「街らしきものが全然見えない...」こんだけ歩いたんだから着いたっていいはずだけど。喉が渇いたので水分を補給する。今更だけどあまり疲れていない自分がいることに気付いた。いつもなら2時間ぶっ通しで歩いたならそっから一歩も歩けないのに。異変は他にもある。ポーチから鏡を取り出し自分を見る。背中に黒い何かが生えている。鏡で見える範囲では分からないが多分羽。当たり前のことを言うが僕は人間だ。少なくとも元居た世界では。一体自分の身体に何が起こったのだろう。これについては人に聞いても分からないかもしれない...まずこの世界に人は居るのか?僕だけしか居ないのでは?今向かってる街は廃墟かもしれない。『独りぼっち』その言葉が浮かんだ。「いや、希望捨てるの早いよ自分。人ならどっかに絶対いるよ絶対」そう自分に言い聞かせる。「...少しだけ希望も見えたし」遥か遠くには街が見え始めた。空は暗くなってきている。夜が来る前に辿り着かないと。僕は前を向いて走り出した。

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